短縮
自動化により時間を短縮
迅速化
重要なデータをより迅速に医師に届ける
スケール
小児がん患者のゲノミクスデータ解析のためにスケール
保護
機密性の高い患者データを保護
24 時間 365 日体制を促進
がん検体解析の 24 時間 365 日体制を促進
概要
2021 年春、Nationwide Children’s Hospital (NCH) の Steve and Cindy Rasmussen Institute for Genomic Medicine (IGM) は、米国内のすべての小児がん患者の分子特性評価を実施する契約を National Cancer Institute および Children’s Oncology Group と締結しました。小児教育病院にとって、このプロジェクトは大きな事業となります。このような高度なゲノミクステストを実施するには、安全性が高くスケーラブルな環境で大量のデータを処理する必要があります。Amazon Web Services (AWS) 上のクラウドへの継続的なジャーニーの一環として、NCH はこうしたゲノミクステストパイプラインを処理するサーバーレスソリューションの採用を検討していました。
NCH は、視覚的なワークフローサービスである AWS Step Functions などのさまざまな AWS サーバーレスサービスを利用してがん検体の複雑な解析を自動化し、検査手順のモデル化、パイプラインベースの段階的なプロセスの自動化を実現しました。AWS を利用することで、NCH はインフラストラクチャの管理に費やす時間を減らし、NCH が最も大切なこと、すなわち小児がん患者の治療の改善に集中する時間を増やすことができます。
機会 | Nationwide Children’s Hospital が AWS サーバーレスサービスを利用してがん検体を解析
オハイオ州コロンバスを拠点とする NCH は、米国最大の小児科病院の 1 つです。NCH の IGM はゲノミクスデータの生成と解析を専門としており、血液やがんの検体を使用して医師が小児患者をより良く治療できるよう支援しています。IGM では 6~7 PB のゲノミクスデータを処理しています。データの量は毎年 1~2 PB ずつ増加しており、2017 年にオンプレミス環境から AWS クラウドに移行しました。NCH の IGM で Cloud Development Manager を務める Grant Lammi 氏は、「すべてをオンプレミスで行うだけでは目標を達成できませんでした」と語ります。「より柔軟なコンピューティングとストレージを備えたソリューションが必要だったため、クラウドに移行しました」。
2021 年までに、IGM はすでに AWS Step Functions の利用を開始していました。同年、National Cancer Institute と Children’s Oncology Group から IGM に打診があった際、IGM は計算量の多い分子特性評価プロジェクトを処理するうえで有利な立場にありました。「米国では基本的にすべての小児がん患者のゲノムを解読して、治療が可能な臨床試験を受ける資格があるかどうかを確認する必要があります」と Lammi 氏は語ります。「AWS を利用することで、院内の研究プロトコルから、約 12 か月で全国の症例を処理できるようになったのです」。
AWS のサーバーレスソリューションを利用すると、テクノロジーの維持管理ではなく、科学の成果に集中できるのです”
Grant Lammi 氏
Nationwide Children’s Hospital、Steve and Cindy Rasmussen Institute for Genomic Medicine、Cloud Development Manager
ソリューション | AWS の自動ゲノミクスパイプラインで時間を短縮
IGM では AWS のサーバーレスソリューションを利用して、小児患者のがん検体を貴重なデータに変えています。検体が配列決定ワークフローで処理された後、専門家が結果を解釈し、2 つのレポートを作成します。1 つは 非特定化された結果を National Cancer Institute の研究者に提供するレポートで、もう 1 つは医師が患者の最適な治療方針を決定するのに役立つレポートです。National Cancer Institute の研究者は、業界をリードするスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、パフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスである Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) の専用バケットを通じてこの情報にアクセスできます。IGM では AWS Identity and Access Management (AWS IAM) を利用しています。AWS IAM は、ID と AWS のサービスとリソースへのアクセスを安全に管理することで、パイプライン全体で患者データを保護し、権限のないユーザーが機密性の高い健康情報にアクセスすることを防ぐサービスです。
また、AWS Step Functions を利用してがん検体の解析を自動化し、AWS Batch を使用して複数のジョブを同時に実行しています。AWS Batch を利用すると、何十万件ものバッチ処理や機械学習コンピューティングジョブを効率的に実行できます。さらに、サーバーレスイベントバスである Amazon EventBridge を利用してワークフロー全体でイベントを送信し、一次、二次、三次解析と移行する各がん検体の進行状況を追跡しています。「配列決定ワークフローは Amazon EventBridge イベントによってアクティブ化されるため、すべて自動化されています」と Lammi 氏は語ります。「ラボで作業を始める以外に、手動での操作は必要ありません」。 このデータはその後、Amazon DynamoDB に保存されます。Amazon DynamoDB は、ハイパフォーマンスなアプリケーションを実質的にどのような規模でも実行できるように設計された、フルマネージドでサーバーレスの key-value NoSQL データベースです。
AWS サーバーレスサービスを利用することで、IGM は自動化を通して時間を大幅に短縮できました。「自動的に時間を作り出すことができました」と Lammi 氏は語ります。「ラボからデータを取り出して同期するまでの間、ゲノムを処理して結果をレビューできるようになるまでに約 1 日しかかかりません」。 配列決定ワークフローの各ステップを手動で管理する必要がなくなったため、IGM は人為的ミスのリスクを軽減し、がん検体を1 日 24 時間いつでも解析できるようになりました。
IGM はインフラストラクチャの管理ではなく、患者の転帰を改善するための科学研究用ソフトウェアの作成に時間を注ぎ込めるようになりました。がん検体をより迅速に解析できるため、重要なデータを医師に提供し、小児患者が必要なケアを受けられるように支援できます。「私たちが生み出している成果を必要としている子どもたちが実際にいます。その子たちはできるだけ早くその成果を必要としています」と Lammi 氏は語ります。「レポートが医師の手に届くまでの時間が早ければ早いほど、子どもたちのより良い生活につながります。そのことが私たちの原動力なのです」。
成果 | 小児がん患者の治療と診断を改善
AWS のサーバーレスソリューションを利用することで、IGM は従来の院内デベロッパーよりもはるかに迅速に行動できます。小児患者のがん検体を迅速に解析して治療を推奨できるため、患者の転帰を改善するのに役立ちます。さらに、IGM はコンピューティング性能を気にせずにスケールできるため、実行する必要のあるテストの数に関係なく、自信を持ってワークフローを処理できます。
NCH は今後、てんかんや希少遺伝病の診断と治療など、他のプログラムにもソリューションを拡大する予定です。「AWS のサーバーレスソリューションを利用すると、テクノロジーの維持管理ではなく、科学の成果に集中できるのです」と Lammi 氏は語ります。「私たちは、世界中の子どもたちの生活をより良くすることに注力できます」。
Nationwide Children’s Hospital について
小児科の学術医療センターである Nationwide Children’s Hospital は、米国最大の小児病院の 1 つです。高度な臨床ゲノミクス機能を患者に提供し、最適な治療経路の選択を支援します。
利用している AWS のサービス
AWS Step Functions
AWS Step Functions は、デベロッパーが分散アプリケーションの構築、IT およびビジネスプロセスの自動化、AWS のサービスを利用したデータと機械学習のパイプラインの構築に使用するローコードのビジュアルワークフローサービスです。
Amazon EventBridge
Amazon EventBridge は、サーバーレスのイベントバスで、AWS と既存のシステム間でイベントドリブンなアプリケーションを大規模に構築することができます。
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AWS IAM
AWS Identity and Access Management (IAM) では、AWS のサービスやリソースへのアクセスを安全に管理できます。IAM を使用すると、AWS のユーザーとグループを作成および管理し、アクセス権を使用して AWS リソースへのアクセスを許可および拒否できます。
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AWS Batch
AWS Batch を使用することにより、デベロッパー、科学者、エンジニアは、数十万件のバッチコンピューティングジョブを AWS で簡単かつ効率的に実行できます。
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